インタビュー/
開発秘話
スマート保安
お客様の声を聞き
改善を重ね、進化を止めない
- DX推進本部 事業イノベーション部 戦略企画課 主任
武田 秀一さん - 製品を製造して販売する「モノ売り」から、製品にIoTやAIを活用して付加価値の高いサービスを提供する「コト売り」へシフト。社内外のステークホルダーと連携をとり、明電グループの事業イノベーションに関する戦略の策定や推進を行う。

スマート保安の導入が、GX特高製品を使用するお客様にどのようなメリットをもたらすのか、具体的な事例を交えて説明してください。
点検コストを削減できることです。
当社では、GX特高製品にさまざまな設備保安技術を導入し、この取り組みが製品評価技術基盤機構(NITE)のスマート保安プロモーション委員会に承認されました。その結果、保安規程を改定することができたのです。
具体的な事例として、当社沼津事業所の特高設備における点検コスト削減の実績についてお話ししますね。
受変電設備に監視カメラや各種計測装置を設置し、遠隔監視と収集データの蓄積が自動化されたことで、巡視点検項目の削減、さらに周期についても1週間から1か月に延長することが可能になりました。また、停電を伴う定期点検の周期を1年から6年に延長し、その間の5年は点検規模を縮小し、無停電で点検を行います。
これにより、巡視点検の年間工数を86%削減することに成功。定期点検については、設備設置後24年間に必要となる点検コストを54%削減する見込みです。
停電に伴う企業活動の機会損失を低減するとともに、停電計画の立案やライン停止作業などの関連業務も削減することができます。
- お客様の反応はいかがですか?
お客様からも非常に好評です。この特高変電所では2021年度から見学会を実施し、これまでに延べ200件以上のお客様にご覧いただきました。多くのお客様が点検コスト削減に高い関心を示されています。
さらに、IoTセンサを用いた設備状態にもとづく予防保全技術や、自動データ収集技術、遠隔管理・広域監視システムとしても関心を向けていただいています。


スマート保安に関する技術革新や規制の変化に対して、DX推進本部ではどのように対応されていますか?
世の中の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、価値の探索と提供を重視したアジャイル型の開発プロセスを採用し、スクラムというフレームワークを当社で初めて導入しました。スクラムは少人数のチームで開発を進める手法であり、役割の異なるメンバーがビジョン・プロジェクト管理・技術面をカバーして効率的に開発を行います。
アジャイルが意味するのは、俊敏性の高さ。数週間程度の短いサイクルでソリューションを形にし、ステークホルダーからのフィードバックを得るなどの方法でその価値を検証する。このプロセスを繰り返し行うことで、継続的に価値を生み出すことができます。途中の仕様変更に柔軟に対応できることや、お客さまの要望を反映しやすいのが特長です。
従来の製品開発プロセスは、実装する機能や仕様をあらかじめ決定し、計画・設計・実装・試験などの各工程を一つひとつ完了させて次の工程に引き継いでいく、ウォーターフォール型で行っていました。
進捗を管理しやすく、製品の品質を担保しやすいといったメリットがある反面、開発途中での仕様変更が難しいため、目まぐるしく変化する市場環境や、多様化するお客さまのニーズに対応しきれないといった弱点があります。
アジャイル型で開発した今回のクラウドシステム「MEIDEN CONNECT」は、2〜3ヶ月でプロトタイプが完成。従来のウォーターフォール型では考えられないスピードです。見学に来られたお客様やテストユーザーからフィードバックをもらい、クラウドの内容を改善しながら、一緒に作り上げています。
- とくにこだわった点はありますか?
クラウドシステム「MEIDEN CONNECT」を利用する方が直感的かつストレスなく操作できるように、UXデザインにこだわりました。3次元モデルを活用して、まるで現場にいるかのようなバーチャル体験を実現し、ほしい情報にたどり着くまでの道筋がわかりやすくなっています。
従来、お客様は設備に異常が発生した際、通報を受けて直ちに現場に急行し、そこで設備の構成や異常箇所の確認、その後の対策を検討する必要がありました。しかし、MEIDEN CONNECTを使用すれば、異常が発生した際、インターネットを通じてどこからでも現場の状況を確認でき、現場出動の必要性の判断や、現場に赴く前に準備を整えることが可能になります。
お客様の反応も上々です。先ほどお話しした内容に加え、盤内まで3次元モデルで見えることや、3次元モデル上や傾向グラフ上でメモを貼り付けて、情報共有できることに驚かれるお客様が多いですね。私たちとしてもこだわったところなので嬉しいです。
今後、GX特高製品とスマート保安の組み合わせがどのように進化し、お客様の課題解決に貢献していくとお考えでしょうか。長期ビジョンについても教えてください。
電気保安を取り巻く現状の課題として、保安員不足や設備老朽化に起因した、設備管理コストやダウンタイムリスクの増大が挙げられます。
現状の保守は、時間基準のメンテナンスTBM(Time Based Maintenance/故障の有無に関係なく定期的にメンテナンスを実施する考え方)が主流ですが、スマート保安における設備保安技術の導入により、保守に必要なデータがクラウドに集約され、将来的には予防保全を主体とする状態基準のメンテンナスCBM(Condition Based Maintenance/故障を未然に防ぐため、設備の状態をリアルタイムで監視して、状態に応じてメンテナンスを行う保全方法)に移行していくと考えています。
先ほどお話ししたように、スマート保安のメリットの一つとして、定期点検周期の延伸が挙げられますが、私たち明電舎が目指している未来は、それだけにとどまりません。
従来はお客様に製品を納めた後、その設備に関するデータはお客様の元で管理され、私たちメーカーは通常そのデータを見ることさえできませんでした。しかし、MEIDEN CONNECTによって、それらのデータがクラウドに集約され、企業の垣根を越えて活用できるようになると、将来的にはお客様にとって、より価値の高いコンテンツを提供することが可能となります。
例えば、設備の予防保全や余寿命診断を提供することで、最小限の手間で十分な設備管理が行えるようになり、お客様の事業継続を脅かす突発的なリスクを未然に防止できます。さらに、これらの取り組みは、設備の効率的な運用や安全・安心の向上にも貢献できると考えています。
今後も、収集したデータをもとに、お客様にとっての価値を検証し、その結果を当社が提供する製品やサービスに反映していく予定です。このように、私たちはDXを通して、今までにない新しい価値を創造し、持続可能でスマートな社会の実現を目指していきます。
環境と経営の両立を実現する
GX特高製品の詳細を
ご紹介します。
製品仕様、温室効果ガス削減効果試算例などの資料をご用意しております。
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